2024年度全国大会へのお誘い(産官学民の連携に向けて)

公益社団法人日本造園学会は、「産官学民」の会員からなり、公益社団法人として広く「社会連携」を視野に入れています。「学会」が社会連携に果たす大きな役割の一つとは「学識と、その存在を必要とする社会の現場をつなぐこと」だと考えます。

全国大会はそのつながりを生み出す機会を提供します。

産官学民の人的ネットワークの構築は、さまざまな課題解決ののためのつながりでもあります。2024年度全国大会では、造園・ランドスケープ分野の展開に向け、さまざまな目的と問題意識を参加者が共有し議論できる数々のプログラムを準備しています。

公開シンポジウム学術論文発表会をはじめとして、 

  • 社会人も対象とした「U30デザインコンペ」の審査・講評・展示
  • シーズ段階の研究・社会実装まで幅広い情報提供と意見交換が可能な
     「ポスター発表
  • 企業団体から個人まで、活動の発信や交流をおこなう「企画展示
  • 街路樹やOECMへの対応など、より具体的で現実的課題への深い議論により解決を目指す「ミニフォーラム
  • 開催地、尾張名古屋の地で実現した造園・ランドスケープの作品群を実務者の案内・解説により体験する「見学会
    など内容、目的、問題意識、深度もさまざまです。


造園学会は幅広い多岐の分野に渡り、わかりづらい、複雑だ…とのご意見も伺います。しかしその構造は、“枝分かれ”しそれぞれの分野が“樹冠”を形成する樹木を思い浮かべると理解しやすいかもしれません。枝の張り方や近くの“枝”の分野について話を聞くことができることが本学会の面白さであり、全国大会の醍醐味でもあります。ポスター発表や企画展示、ミニフォーラムがそうした場になることを期待しています。

 全国大会は「学」以外、また造園学会会員以外の方も参加を歓迎します。全国大会でのコミュニケーションが簡易なインターネット検索とは異なり、求める情報とその周辺領域を含めて把握でき、求める人へと派生的につながっていく人的ネットワーク構築の機会となることを全国大会運営委員会・企画委員会一同期待して準備を進めています。

ぜひ、名古屋にお越しください。


(文責 企画委員会+全国大会運営委員会 篠沢健太、水内佑輔)

名古屋市久屋大通庭園フラリエにおけるチョウ・トンボ・鳥類相とそれらのポテンシャル評価

橋本啓史(名城大学)・富川紗恵(元・名城大学)

E08

名古屋市中区にある久屋大通庭園フラリエにおいて、2021年5月~2023年4月まで原則月2回の生物調査を行い、チョウ12種、トンボ9種、鳥類31種を記録した。近隣の緑地での記録やそれらの緑地との距離・連結性、庭園自体の環境や食草の有無などからポテンシャルを評価し、生物多様性向上のための提案をした。

都市街路における街路樹の音楽的評価手法

渡邊立樹(大阪工業大学大学院)・田中一成(大阪工業大学)

D09

近年、日本では街路樹の無断伐採が問題になっている。本研究では、都市と調和した景観デザインを構築するために、街路景観と調和した街路樹の位置を見いだすことを目的としている。調査方法としては、音楽をヒントにて、3D空間上の街路樹のリズム等を用い、街路景観の傾向とそれに対する心理評価を抽出している。

農地が点在する住宅地域の土地利用と鳥類出現状況との関係性について

木田実里・福井亘・高林裕(京都府立大学大学院)

E02

京都市北区の西賀茂と上賀茂の農地を対象に,鳥類調査と環境分類,相関係数と主成分分析による解析,先行研究との鳥類種の比較を行った結果,調査対象地は種が多様ではないが,繁殖期は夏鳥であるツバメ,越冬期は冬鳥であるツグミ等が飛来し,土地利用との関係性が見られ,OECMとして位置付けできる可能性を有すると考えた。

愛媛県松山市清水地区の地域猫と地域猫活動の現状

中山真里・ルプレヒトクリストフ(愛媛大学)

E07

地域猫の社会・生態的な影響とその管理の複雑さがコンパニオン・アニマル・エコロジー概念で再認識されつつある。本研究ではインタビューやGPSロガー調査で愛媛県松山市清水地区における地域猫をめぐる活動の実態と地域猫の行動範囲を分析し、場所による活動の違いや猫の行動と道路や餌やりの関係を明らかにした。

放棄農地の湿地再生と日本型パルディカルチャーの可能性―北海道十勝地域での事例

大黒俊哉・矢野菜々絵・木村圭一(東京大学)

E06

パルディカルチャー(Paludiculture)とは、排水により乾燥化した泥炭地を再湿潤化することで、温室効果ガス排出の削減とバイオマス生産の両立を目指す農業である。本発表では、北海道十勝地域における耕作放棄農地の湿地再生の取り組みを紹介するとともに、日本型パルディカルチャーの可能性を議論する。

大阪市中心部の河川沿道の空間とその周辺に位置する公園における鳥類の出現傾向の違い

髙林裕・福井亘(京都府立大学大学院)

E05

大阪市の土佐堀川と東横堀川,道頓堀川,木津川の沿道空間とそれら周辺の都市公園における鳥類の出現傾向の違いを明らかにする。2017年5月から7月と2017年12月から2018年2月に各時期4回ずつ鳥類調査を実施し,当該空間の環境情報を現地調査およびGISによりデータ化した。今後は鳥類の種組成に影響を与える要因を明らかにする。

江戸時代以降の古市古墳群の植生景観の変化と要因

今西亜友美(近畿大学)・今西純一(京都大学)

E04

古市古墳群を対象として,江戸時代以降の植生景観の変化とそれに関わる人的要因について調査した。江戸時代から政府によって保護された陵墓は戦前から樹林で,戦後に優占樹種が針葉樹から常緑広葉樹林へ変化した。一方で,陵墓以外の古墳は戦前まで地域住民によって利用され,戦後に樹林化したものが見られた。

安土城跡及び豊浦港周辺整備の景観設計

オーガイアミシェル琳・谷川陸・山口敬太・川﨑雅史(京都大学)

E03

滋賀県近江八幡市安土町に点在する地域資源を活用し、地域のまちづくり活動や体験イベントを一元的に発信するエコミュージアムの拠点として、安土城跡南面と豊浦港周辺の再整備案を提案した。地域WSで得られた課題を整理した上で、治水や環境保全、眺望、コストなどの評価軸を設定し、実現のプロセスの検討を行った。

耕作放棄地の谷津田を利用したヤナギの栽培の検討

黒岩洋一・渡部陽介・松岡達也(清水建設株式会社)

E01

千葉県富里市の耕作放棄地の谷津田で、現地に自生するヤナギの個体を利用してバイオマス生産を目的とした挿し木による増殖と栽培の検討を試みた。試験地周辺の湧水では硝酸塩の含有が確認され、この湧水が谷津田に供給されて湿地を形成している。この環境を利用して無施肥、無潅水で栽培した結果、良好な生長が確認された。