U30デザインコンペ募集要項

1. テーマ

「うつろう風景」と「変わらない風景」〜時間軸の中での風景を考える〜

2. 公開デザインコンペの趣旨

これまで歴史の中で、人と環境との関わりからさまざまなランドスケープ空間が形成されてきました。このような空間は、その場を構成する自然の変化、住まう人などの変化に伴い移り変わってきました。例えば、”里山”では、かつての里山における人と自然との関係性と現代におけるそれとは大きく異なるものと考えられます。その背景は、都市化などの流れを経て少子高齢化、過疎化といった問題、耕作放棄地や管理の行き届かなくなった山林、さらには気候変動や多発する異常気象や災害など多岐に渡ります。こうした中でもさまざまなチャレンジがなされており、公・共・私による多様な関わりが見出され、グリーンインフラをはじめとする自然の時間軸に合わせた柔軟な空間のありようが造園・建築・土木の領域を超えて、見出されてきています。

本コンペでは、今一度これまでの時間軸の中で環境との関わりから形成されてきた空間の価値を見つめ直し、継承しつつも未来に向けて積極的に利用するありかたを考えていきます。日本造園学会では時間軸の中で形成されてきたランドスケープ空間を”ランドスケープ遺産”として、収集してきました(https://heritage.jila-zouen.org/)。こうした”ランドスケープ遺産”といわれる「時間軸」の中で形成されてきた人と環境との関わりを、どのように未来につなげることができるのでしょうか。本コンペではその提案を求めています。

本コンペは、対象地として選定した場の価値を、単なる保存や保全にとどまらず継承・発展させていくための空間デザインについて、提案を求めるものです。仕組みやプログラムの提案だけでなく、必ずヒューマンスケールにおいてどのような経験ができるのかをプレゼンテーションしてください。歴史的な空間では、植栽や園路、サインの再編といった最小限の改修も考えられますが、インフラの改修や新設、新たな施設の導入なども考えられます。造園・土木・建築・プロダクトなどの枠組みを超えた空間デザインの提案を歓迎します。

3. 対象地

各自で自由に「人と環境との関わりが時間軸の中で形成されてきた地域や場所」を設定してください。日本造園学会ランドスケープ遺産インベントリーウェブサイト(https://heritage.jila-zouen.org/)に掲載されている対象を参照しても構いません。選出した地域や場所についてどのようにその場の価値を理解し、未来に向けてどう再編集したかを、ダイアグラムなどグラフィカルな表現を通じて明確に表現してください。なお、原則国内とします。

4. 応募条件

  1. 応募資格は⾼校⽣学生ならびに 2025 年3月 31 日時点で 30 歳以下の社会人の個⼈またはグループとします。なお,⾼校生は一次審査のみとし,一次審査終了後,入賞者に連絡します。
    • ※本コンペは造園 CPD 単位を取得することができます(区分 260・265(認定プログラム申請予定)および区分520・525)(自己登録)。
  2. グループでの応募は 5名以内とし、代表者を 1 名選定してください。
  3. 専⾨分野は問いません。造園、ランドスケープ、都市計画、土木、建築等、分野を超えてのご応募をお待ちしています。
  4. パネルは日本語または英語、プレゼンテーションは日本語とします。英語のみを使⽤する者が応募する場合は、日本語によるプレゼンテーション(質疑応答を含む)が可能な者と組んで、グループで応募してください。
  5. 一次審査通過講評対象作品の応募者は名古屋市立大学(予定)で⾏われる2024年6月14日(金)の⼆次審査会(公開プレゼンテーション)と、名城大学で⾏われる6⽉15⽇(土)の表彰式への参加が求められます。グループによる応募の場合は、二次審査会および表彰式への全員の参加に努めてください。
  6. 応募作品は未公表でオリジナルなものに限ります。アイディアや表現等において他者の作品との極端な類似が⾒られる等、作品のオリジナリティが疑われる場合は、その作品を失格とする場合があります。

5.スケジュール

登録期間:2024年2⽉5⽇(⽉)〜4⽉19日(⾦)

  1. 作品の受付:2024年4月29日(月)〜5月7日(火)(郵送必着)
  2. ⼀次審査会:2024年5⽉下旬ごろ ※一次審査通過者への通知:5月末ごろ
  3. ⼆次審査会:2024年6⽉14日(⾦)
    @名古屋市立大学北千種キャンパス(予定)
  4. 審査結果発表・表彰式:2024年6⽉15⽇(⼟)
    @名城大学(予定)

6. 登録⽅法

  1. 応募には事前登録が必要です。上記の登録期間中に必要事項をフォームより入力してください。
    フォームに入力後、登録番号がメールで通知されます。応募希望者の登録番号受理をもって登録完了とします。
  2. 必要事項は、①応募者⽒名、②所属(グループの場合は代表者⽒名および構成員の氏名、全員の所属)、③Eメールアドレスです。
  3. 問い合わせ先
    U30公開デザインコンペ事務局:jilacompe[atmark]jila-zouen.org(担当:大野)
    ※[atmark]を@に置き換えてください
  4. 登録期間を厳守してください。期間外の登録は受け付けません。また、登録受付の返信メール(自動送信)が届かない場合は登録期間内に問い合わせてください。必要に応じてフォームへの入力記録は各自で保存してください。
  5. 登録料は無料です。
7. 質疑応答・現地⾒学会

質疑についてはメールでコンペ事務局宛にお送りください。ウェブサイト上で回答を公表します。各自で現地を視察する場合、対象地およびその周辺地域には多くの市⺠が仕事や⽣活があります。事故を起こしたり迷惑をかけたりすることがないよう、良識ある⾏動をお願いします。

8. 作品提出および公開プレゼンテーションの⽅法

1) 一次審査:提出物

①A1サイズパネル
・A1(594×841 mm)⽤紙 1 枚(ヨコ)にレイアウトしてください。
・原則、断面図1片以上を入れてください。
・5 mm 程度の厚さのパネルに貼って提出してください。
 パネルにフレームを付けないでください。
・パネル裏⾯右上隅に「登録番号」(サイズ5 cm×5 cm)を記載してください。
 送料は応募者負担となります。
・送付先:〒464-0083 愛知県名古屋市千種区北千種2-1-10
 名古屋市立大学芸術工学部 大野 TEL:052-721-1225
※「日本造園学会U30公開デザインコンペ作品在中」と朱書きしてください。

②PDFデータ
・以下の提出専用フォームから送付ください。
 1データ50MBまでのPDFデータとしてください。PDFデータ以外は受け付けません。
・データはPDF形式、High Qualityで作成してください。
・PDFデータのファイル名は「jilacompe(登録番号)」にして下さい。
・ZIP化などは不要です。
 ※(登録番号)は登録番号3桁に置き換えてください(例「jilacompe001」)。

③提案の概要の要約
 ・300字程度で提案の概要を説明し、フォームに入力してください。
 紙面での提出は不要です。

2) 応募作品の条件

⼿描き、CAD、CG、模型写真等、平⾯なグラフィックであれば形式は問いませんが、審査の際の視認性に⼗分ご配慮ください。空間デザインを評価しますので具体的な表現を必ず⼊れてください。

3) ⼆次審査:公開プレゼンテーション

・⼀次審査で選ばれたチームの⽅は、公開プレゼンテーション⽤ファイル(PDF)を6⽉12⽇(水)までに事務局まで電子メールまたはデータ転送サービスにて送付してください。二次審査⽇は6⽉14⽇(⾦)の予定です。⼆次審査では提出済みパネルに加え、公開プレゼンテーション用ファイル(PDF)による追加説明資料を求めます。また模型や追加のパネルの提出は認めません(模型写真をパネルに反映することは問題ありません)。
・⼀次審査を通過したチームについては、学会ウェブサイトへの成果物の掲載をもって公開とみなします。

4) 注意事項

応募者を特定できるような記述は避けてください。そして、図や⽂字を貼り付ける場合は、剥がれ落ちないようにしてください。輸送中に剥がれたものについては、事務局で責任は負いません。

9. 表彰の内容

・最優秀賞(1点):賞状、賞⾦(20万円)
・優 秀 賞(2点程度):賞状、賞⾦(5万円)
・佳作(2点程度):賞状、賞⾦(1万円)
・入賞(6点程度):賞状、賞⾦(5千円)
・高校生奨励賞(1点)

10. 審査委員会

審査委員⻑
三谷徹 (東京大学大学院建築学専攻 教授)

審査委員
石川初 (慶應義塾大学環境情報学部 教授)
板垣範彦(いきもの ランドスケープ 代表)
三島由樹(株式会社フォルク 代表取締役)
伊藤恭行 (名古屋市立大学大学院芸術工学研究科 教授)
崎谷浩一郎(株式会社 イー・エー・ユー 代表取締役)

11. 選考および結果通知

1) ⼀次審査(⾮公開)

審査委員会は、主旨及び課題を総合的に検討し、本コンペの条件に適合した優れた提案を10作品程度を選出し、そのうち上位5作品程度を講評対象とします。

・審査委員会は、提出された応募作品により審査します。
・提出者の名前は匿名で⾏います。
・⼀次審査通過者を⼊賞者とします。
・⼀次審査の結果は、応募者全員に登録されたメールアドレスへ通知します。
・⼀次審査における審査委員からの総評は審査終了後に公開します。

2) ⼆次審査(公開)

一次審査で通過された作品のうち講評対象に選ばれた応募者には、6⽉14⽇(金)に開催する公開プレゼンテーションにおいて応募者本人による提案内容のプレゼンテーションをしていただき、審査委員との質疑応答の機会を設けます(発表5分、質疑応答20分程度)。審査委員会は、一次審査通過講評対象作品のプレゼンテーションならびに質疑応答を参考に、最優秀賞等の選考を⾏います。審査の議論はオンライン配信含め公開して実施する予定です。

・プレゼンテーションは、一次審査提出物と同一内容にしてください。説明のためであっても新たなグラフィックを付け加えることはできません。
・盗作防⽌のため一次審査通過作品については作品画像を学会ホームページで公開します。
・二次審査の結果は、6⽉14⽇(金)の審査会後に内⽰します。6⽉15⽇(土)の表彰式において正式に発表、表彰されますので、表彰式には参加してください。
・なお、二次審査講評対象者の審査会と表彰式への参加にあたっては大会参加費を徴収いたしません。

審査のポイント

<時間軸への観察眼>
 時間軸の中で形成されてきた人と環境との関係性について明確に示されているか
<未来への投げかけ>
 具体的な「空間提案」がなされているか
<表現>
 ヒューマンスケールにおける体験が図面やパースなどで明確に示されているか

12. その他

1) 審査結果に関する質問や異議には応じません。
2) 応募作品およびデータの返却は⾏いません。
3) 失格要件
応募登録⽤紙に虚偽の記載があった場合、および応募作品中に応募者の⽒名や所属の特定、推測ができる表記があった場合は失格とします。また、応募作品に使⽤された図⾯、書類等に関して著作権に関する問題が生じた作品については、失格とする場合もあります。
4) 著作権
応募作品の図⾯・書類の著作権は、応募者に帰属しますが、公益社団法⼈⽇本造園学会は、本コンペに関して必要な公表・出版についての権利を無料で使⽤できるものとします。また、作品に使⽤する図版、写真等の著作権については、応募者の責任において確認等を行っていただき、コンペ事務局および日本造園学会はこれら著作権等に関する責任は負いません。なお、パースなどの作成にあたり生成系のAIを利用した場合はその旨明記してください。
5) 公表および出版
応募作品の全部もしくは⼀部、審査経緯、審査結果、講評等をまとめた「U30公開デザインコンペ」の報告を学会ホームページならびに学会誌「ランドスケープ研究」、学会ウェブサイトなどに掲載する予定です。この際、応募者の⽒名、所属を公表します。
6)二次審査会後にコンペ作品展示会場にて、交流会を実施します。自由な議論を促進する場を想定しており、コンペ応募者以外も参加可能です。

13.質問への回答 (4月17日更新)

Q:卒業制作をそのまま応募することは可能でしょうか。
A:「応募作品は未公表でオリジナルなもの」としておりますので、卒業制作として発表済みの作品については今回の応募作品としては受付できません。ご理解いただければと思います。

Q:社会人でプライベートでの応募の場合、登録フォーム所属欄にはどのように記載するとよろしいでしょうか。
A:所属がない場合は、「フリー」や「フリーランス」と記載いただければと思います。所属がおありの場合は、原則、所属先を記載いただければと思います。

Q:郵送先に直接持ち込みで提出することは可能でしょうか。
A:申し訳ございませんが、持ち込みはできません。なお、天災などのやむを得ない事情で到着が遅れてしまう場合は、事前に事務局までご連絡ください。