地域共生をコンセプトとして医療・福祉施設に造成した庭とその活用

剱持 卓也(兵庫県立大学大学院 緑環境景観マネジメント研究科)

D25

北海道帯広市にて,病院,介護老人保健施設,サービス付き高齢者向け住宅に面した6,000㎡を超える敷地に,地域共生をコンセプトとした庭が造成されている.演者は,2019年の造成当時,園芸療法士として庭のコンセプトづくり,設計,活用に関わった.今回,造成した庭とその場を活用した地域共生に資する取り組みを紹介する.

水と緑の景観から捉えたオープンカフェの魅力の解明

杉本千一・松尾薫・武田重昭・加我宏之(大阪府立大学)

D24

大阪市のオープンカフェを対象に、水辺や公園との関係から立地特性を把握し、テラス席の特性とそこからの景観の魅力を探った。水辺の店舗では、水面を引き空間とした中・遠景や水と緑が調和した景観資源を眺めやすい席の配置の工夫がみられた。一方、公園が視対象の店舗では、多様な緑景観を取り込んでいる店舗は少ない。

栃木県宇都宮市で産出される大谷石の地域住民による再利用実態および意向の解明

三浦魁斗(宇都宮共和大学)・三橋伸夫(宇都宮市市政研究センター)

D22

本研究は、栃木県宇都宮市で産出される大谷石を事例に、産地周辺の住民を対象としたアンケート調査の分析により、地域住民による大谷石の再利用の実態と意向を解明した。以上を通じて、「住民主体の景観まちづくり」の実現に資する、「地場産の建材によって形成される景観」の保全に対する基礎的な知見を得る。

木質バイオマス発電所の全国的動向と地域貢献に関わる事例分析

長門ほの香(東京大学大学院工学系研究科)・寺田徹(東京大学大学院新領域創成科学研究科)・宮崎賢一(竹中工務店木造・木質建築推進本部)・蓑茂雄二郎(竹中工務店まちづくり戦略室)・青田教子(竹中工務店木造・木質建築推進本部)・井上竜太(竹中工務店技術本部)・横張真(東京大学総括プロジェクト機構)

D15

FiTによる政策的誘導を背景として日本各地でバイオマス発電所の建設・稼動が進んでいるが、燃料を輸入材に頼るなど必ずしも国内の森林保全や地域貢献につながっていない。本研究では、バイオマス発電所の全国的動向を整理したのち、国内の森林資源利用を目的とする先進的な4事例のケーススタディについて分析を行った。

「未来の風景の共有」に向けた学び場の可能性 :石川県珠洲市

片桐由希子(金沢工業大学)

D14

2021年度から地域経済循環と担い手の育成とその基盤となるランドスケープの再生をテーマに取り組んできた石川県珠洲市の中学校総合的学習の試みと成果を踏まえ、震災復興の視点も踏まえ、持続的な地域づくりにおける「ランドスケープ」のあり方について議論する。

都市近郊の果樹生産地域における剪定枝の処理及び活用の実態 ―千葉県東葛地域の梨園をケーススタディとして―

前田彬(千葉大学大学院園芸学研究科)・柳井重人(千葉大学大学院園芸学研究院)

D11

果樹の生産の管理では剪定枝が大量に発生し、都市近郊では果樹園に住宅地が隣接する場合も多いことから、剪定枝の焼却による問題が発生している。 こうした中、剪定枝の有効活用を意図した処理システムの構築が求められる。そこで本研究では千葉県東葛地域の梨園を対象に剪定枝の発生から処理及び活用の実態を把握した。

ウェルビーイング向上のための都市緑地を中心としたアクティブデザインの検討

浦﨑真一(大阪芸術大学芸術学部)・小野隆(一般社団法人公園からの健康づくりネット)・寺田晴香(株式会社公園マネジメント研究所)

D10

緑は自律性や社会性といったヒト本来の能力を引き出すことが多くの研究により明らかであり、こうした都市緑地の重要な利点を考慮し、都市緑地の整備や充実を進めることによって、社会課題の解決や持続可能な社会の実現に貢献するための、都市計画や環境政策、教育政策、人的投資にむけた総合的な施策検討について発表する。

農的活動の場としての都市公園の利用実態に関する研究

許国麟(千葉大学大学院園芸学研究科)・柳井重人(千葉大学大学院園芸学研究院)

C13

近年,都市住民の農的活動が広がりつつある中,都市公園を農的活動の場として活用する事例もみられ,それが公園の新たな利用形態の形成に繋がる可能性がある。そこで,本研究では,横浜市の農園付き公園を対象とし,行動観察調査により利用者の属性や行動特性を把握し,都市公園に農的活動の場を取り入れる効果を考察する。

五箇山におけるカリヤス茅場の現状と役割の再考 (Current Status and Re-evaluation of the Role of of Kariyasu Grasslands in Gokayama)

Cao Yifan、黒田乃生(筑波大学)

D08

Thatched-roof, known as “Kayabuki,” houses are quintessential elements of Japanese rural scenery, requiring periodic roof re-thatching to maintain their residential function. In the Gokayama region, a traditional local material called “Kariyasu (Miscanthus tinctorius)” is used for roofing, and homeowners conventionally cultivate their own “Kariyasu” grasslands to secure maintenance materials. However, recent changes, such as labor shortages, have have led to alterations in crop size, location, and management. This study utilizes GIS with aerial photography analysis to investigate these changes and the current status of “Kariyasu” grasslands through on-site interviews, and re-evaluating their role across different periods in the Gokayama region.

重要文化財小栗家 庭園

加藤隆士(株式会社ランドマーク計画事務所)野村勘治(有限会社野村庭園研究所)大野暁彦(名古屋市立大学)

A02

愛知県半田市の商家小栗家は明治3年に建てられた建物群が昨年重要文化財に指定された。この本庭は邸号「招仙亭」に相応しい「亀が須弥山を背負って大海を泳ぐ姿」がテーマとなっている。中国留園に倣った文人の世界観と尾張特有の技術の庭、秘匿されていたその高い知識と教養を掘り起こしてみたい。