バイオ炭の植栽基盤への混合が雨水の浸透および低木の生育に与える影響

松岡 怜(東京大学大学院農学生命科学研究科)・松岡 達也(清水建設(株)技術研究所)・高木 大地(東京大学農学部)・大黒 俊哉(東京大学大学院農学生命科学研究科)

B03

都市緑地では豪雨時の雨水浸透と無降雨期間の水分保持の両立が求められ、バイオ炭による土壌改良は解決策として期待される。緑化用低木を用い、強雨と乾燥の繰り返しを想定した試験を行った結果、バイオ炭の均一混合により雨水浸透速度が向上するとともに、無降雨時の植物の枯死リスクが低減される可能性が示された。

夢窓疎石が関与した禅宗庭園の利用者とその内容の変遷に関する考察

関西剛康(南九州大学大学院園芸学・食品科学研究科)

A04

夢窓疎石が関与した禅宗庭園は、国師になる以前の諸国に造られた永保寺庭園、瑞泉寺庭園、恵林寺庭園等と,国師となって京に造られた西芳寺庭園,天龍寺庭園等では、その利用者及び利用目的やその方法等の内容に変化が見られた。その変化の原因は、天皇家との関りによる王朝文化の影響が原因していると考察した。

京都博覧会への植木屋の出品状況

小椋菜美(京都大学大学院 地球環境学舎)・今西純一(京都大学大学院 地球環境学堂)・柴田昌三(兵庫県立淡路景観園芸学校)

A03

京都博覧会は、明治初期の京都の主要な産業振興策であった。江戸時代は植木屋仲ケ間として存在し、明治3年に植木商社に形を変えた植木屋の同業者組合は現在の京都府造園協同組合の前身である。明治前期の京都博覧会には植木商社や植木屋の出品もみられることから、明治中期以降の京都造園界の発展への影響を考察する。

This presentation focuses on the exhibits by gardeners and plant dealers at the Kyoto Exposition, which was a major industrial promotion measure in Kyoto in the early Meiji period. The association of gardeners and plant dealers which existed since the Edo period participated in Expositions as Garden Tree Trading Company(Ueki-shōsha.)Some presumed constituents of the former association also exhibited their products at the Exposition. With a list of the exhibits by gardeners and plant dealers, the influence of Kyoto Exposition on the flourish of the Kyoto landscaping scene after the mid-Meiji period has discussed.

総合公園における遊具エリアからみた公園利用の空間的分布と利用空間への認識-野々市中央公園を対象として-

松田大輝(金沢工業大学卒業生)・片桐由希子(金沢工業大学)

C09

本稿は、大規模な都市公園内の各ゾーンやオープンスペースのレクリエーション活動を促進するための要件を明らかにすることを目的とする。対象地は野々市中央公園とし、行動調査と利用者意識調査を実施し、各ゾーン間の利用形態や動きを分析した。多様なゾーンを効果的に活用するためには、情報発信の向上が必要である。

宮崎県日向景修園の植栽環境と庭園木の樹種特性

日髙英二・篠﨑圭太郎・松島大樹(南九州大学)

B01

宮崎県日向景修園において、調査地地形の略歴や土壌調査によって植栽環境を把握し、庭園木の現存状態や外観判定による衰退度判定の結果との関係を検討した。その結果、沿岸地の干潟跡地の造成地に位置する日向景修園の立地環境が庭園木樹種の衰退度の差異に影響を与えていることが示唆された。

人工軽量土壌に混合するバイオ炭の原料の違いが緑化植物の生育状況に与える影響

松岡達也(清水建設(株))、高木大地(東京大学)、松岡怜(東京大学大学院)、渡部陽介(清水建設(株))、大黒俊哉(東京大学大学院)

B02

人工地盤上緑化では土壌乾燥化に起因する植物の生育不良が懸念され、バイオ炭の土壌混合による保水性改善が解決策の一つである。木炭、竹炭、もみ殻炭、ヤシ殻炭を各々土壌に混合し無潅水下でチガヤの生育評価を行った結果、ヤシ殻炭では他の炭より早く萎れがみられ、バイオ炭の原料により生育状況が異なることが示された。

Soil desiccation in artificial ground greening affects health conditions of plants negatively in some cases. Biochar application to soils is one of the solutions to improve water retention. In this study, biochar made from wood, bamboo, rice husk and coconut shell were added on soils, and evaluated the health conditions of Imperata cylindrica under non-irrigated conditions. The results indicated that health conditions of Imperata cylindrica with soils, coconut shell biochar mixed conditions, were not kept well compared to the cases with other biochar, and thus the health conditions of plants could be altered by raw material of biochar.

短期大学の教育における花壇の植栽計画と管理への3次元モデルの活用について

荘司萌々香(西日本短期大学緑地環境学科)、永島知子(西日本短期大学緑地環境学科)、大隣昭作(福岡大学工学部)

B04

短期大学における実習教育では、2年間という限られた時間の中で効率的に計画・設計を学ぶ必要がある。特に、平面設計から立体的に見える花壇を想像するのは難しい。本研究では、写真測量技術を利用して作成される3次元モデルを通じて、学生がより直感的に設計を理解し、効果的に学習できるかどうかを検証する。

木炭混合土壌における在来緑化植物の種特性と生育パターンの関係

高木 大地(東京大学農学部)
松岡 達也(清水建設(株)技術研究所)
松岡 怜(東京大学大学院農学生命科学研究科)
渡部 陽介(清水建設(株)技術研究所)
大黒 俊哉(東京大学大学院農学生命科学研究科)

B05

人工地盤上緑化での土壌乾燥化による植物の生育不良の解決策としてバイオ炭混合による保水性改善が期待されるが、その効果は植物種により異なるとされる。生育特性の異なる在来植物7種を用いた栽培実験の結果、木炭混合時にイネ科植物や植物体サイズの大きい種で生育不良の抑制効果が確認された。

園庭環境の緑化手法に関する一考察 ~子どもの安全性の視点から

仙田考(田園調布学園大学大学院・国際校庭園庭連合日本支部)

B08

本発表は子どもの安全性の視点から、園庭環境の緑化手法に関し、計画・設計段階(遊びや動線の配慮、防災、防犯、熱中症対策、樹種選択等)、施工・監理段階(施工中の配慮)、活用・維持管理段階(樹木生長後、枯死等の対処)で求められる対応や注意点について、実際の緑化実践事例の整理にもとづき検証を行うものである。

オーストラリア・メルボルン市におけるアーバンフォレスト戦略の実態調査による日本の街路樹管理システムへの提案

谷美紀(明治大学農学部)・菅野博貢(明治大学農学部)・ 高山幸聖(明治大学農学部)・ 佐野知則(明治大学農学部)・高田楓子(明治大学農学部)

B09

近年、樹木の伐採などで市民と行政の間で軋轢が生じる事案が相次いでいる。本研究ではオーストラリアのメルボルン市の都市林業戦略を対象として、どのような手法で市民との衝突を回避しているのか、現地調査、関係者へのインタビューを通じて日本のシステムと比較し、両者のアプローチの違い、長所と短所等を明らかにした。